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父の命日に寄せて

三井記念美術館での思い出。

誰もいない展示室。

国宝・円山応挙「雪松図屏風」を目の前に父と二人きり。

展示室に降る雪

「お父さん!雪が降ってる。」

「そうだね。」

たわいもない会話。

一瞬が静かな透明な時と化してゆっくりと流れる。

目には見えないものをお互いに見る。

あの美しいさを父と共有し合えた時間は、大切な宝物として、今も私の中で輝き続けている。